本研究では、算数教育において、定義の概念的知識獲得を目的に、学習法の効果を検討した。都内公立小学校5年生と6年生に、分配法則計算の2種類の解法比較を行わせた。実験群の5年生には、図表活用方略とその方略を促すため、話し合いに聞き手と話し手という役割をもたせて、比較させた。ここで、分配法則の概念的知識獲得は、数学における分配法則の定義式を言語や図形を使って表現できることと定義し、式から言語、式から図形、図形から式を表現する3種類の問題で、概念的知識獲得の効果を測定した。その結果、実験群において、式を図形で表現する問題の事前、事後テストの差に、統計的な有意傾向がみられた。