学習指導要領改訂が近いことを踏まえ,現行の小学校・中学校理科教科書の生命・生物観察・実験の実施困難度を数値や段階評価で示す事で,既存の観察・実験の教科書への採択の判断材料に資すると共に,工夫改善された観察・実験の提案を含めた,高度学校再現性の判断に活用できる根拠データベースを構築する目的で,複数の観察・実験の実施困難度測定を行っている。中でも小学校理科の花粉のはたらきで用いるアサガオは,難教材の一つである事から,実際に栽培しながらこの観察・実験の実施困難度を測定した。夏休みを挟み四か月余りに渡る栽培の継続が必要な事に加え,児童より低い背丈を維持する為,伸びるつるを低い位置へ連日,支柱内に収めなければならない。また観察・実験を行う 9 月になると蕾の数が減り,受粉したばかりの実が昆虫に食べられる事も起きた。また受粉したはずの実に種が入らない事もあり,考察に結びつける事ができなかった。従って実施困難度は∞とした。アサガオの代替に,栽培期間も短く他家受粉であり,花粉のはたらきの観察・実験が容易なファストプランツを提案した。