2024 年 38 巻 3 号 p. 17-20
算数科における文章題解決において,子どもにとって状況把握の難しさが課題の一つに挙げられている.課題の背景には文章題の表現から数式に変換する際に変換等必要な段階が存在するという認知の側面,さらに文章題の表現を踏まえて生起する状況を根拠とせずに,表現に含まれる数値および演算に導くキーワードを根拠として解決するといった学校自体のもつ文化的側面が要因として指摘されている.筆者は文章題解決に対して挿絵の提示での効果の有無が検討したが,授業者が作成した挿入絵に対しては気づきが十分には認められなかった(石井,2008).しかし,いくつかのコマで構成される漫画の提示により,子どもが文章題課題の状況をつかみわかることに結びついたという研究が見られる(島根県松江教育センター,1989・1990)そこには視点が存在していることが考えられる.そこで本稿では,漫画と視点との関係について検討していく.