日本セキュリティ・マネジメント学会誌
Online ISSN : 2434-5504
Print ISSN : 1343-6619
解説
人工物メトリクス:真正性と偽造困難性を高める技術
藤川 真樹
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2019 年 33 巻 2 号 p. 11-18

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抄録

人工物メトリクスとは,人工物が持つユニークな特徴情報を用いて真正性(本物であること)を検証するとともに,人工物のクローンを作成することを困難にする技術である.特徴情報は人工物の製造時に自然偶発的に形成されるが,人為的に形成することが困難であるため,真正品を製造する事業者であっても狙った通りの特徴情報をつくることができない.このため,紙幣や有価証券などに用いられている偽造防止技術とは異なり,人工物の製造方法や特徴情報の形成方法を秘匿する必要がない.真正性の検証方法は大別すると2つある.1 つは,人工物中に形成された特徴情報をセンシングデバイスを用いて抽出し,既登録の特徴情報とのマッチングにより真正性を検証する方法である.もう1 つはPUF と呼ばれるもので,人工物に印加した刺激(チャレンジ)に対するレスポンス(特徴情報)を抽出し,既登録の特徴情報とのマッチングにより真正性を検証する方法である.最近では,人工物から抽出できる特徴情報の数を増やす試み(マルチモーダル人工物メトリクス)が行われており,真正性と偽造困難性がより高まるものと期待されている.

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