外科と代謝・栄養
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特集「がんに対する糖質制限食治療の可能性」
大阪大学における癌ケトン食療法5年間の取り組みについて
萩原 圭祐梶本 勝文中田 英之神吉 秀明竹内 麻里子斎藤 仁美中野 真依
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2019 年 53 巻 5 号 p. 207-215

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抄録

 われわれは,大阪大学ゲノム審査委員会の承認を得て,2013年1月より,日本の基幹病院において先駆けて,癌患者に対するケトン食の有用性と安全性の検討を開始し,その結果を,報告してきた.対象は,臨床病期Stage IV,PS0‐2,経口摂取可能な患者とし,他の癌治療の併用は可能とした.ケトン食は,同意取得後,管理栄養士が指導し,最初の1週間は糖質10g/日,2週~3カ月では,糖質20g/日以下,3カ月以降は,糖質30g/日以下とした.標準体重あたり30kcalを目安に開始し,エネルギー補給に際しては,MCTオイル,ケトンフォーミュラを使用した.導入3カ月後でのPET‐CTによる評価を主要評価項目とし,導入12カ月後での生存率の評価を副次評価項目とした.2018年12月現在55例の同意を取得し,現在,その結果を解析中である.癌ケトン食療法は,確かなエビデンスを構築していく段階に移行したと思われる.そのための課題や,われわれの取り組みについて紹介する.

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© 2019 日本外科代謝栄養学会
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