抄録
【目的】胃癌に対する化学療法時における炎症反応と栄養状態が予後予測に及ぼす影響を評価すること.【方法】2007年1月から2015年12月まで当科において化学療法を施行した治癒切除不能進行再発胃癌患者245例を対象とし,全生存期間をGlasgow prognostic score(GPS),好中球/リンパ球比(NLR)および予後推定栄養指数(PNI)を指標として検討した.【結果】全生存期間中央値(MST)は11.7カ月で,NLR<3.9群はNLR≧3.9群に比してMSTが有意に延長されていた( P =0.004).PNI>36.1群はPNI≦36.1群に比してMSTが有意に延長されており( P =0.040),GPSおよびmGPSにおいて0群はGPS 1/2群に比してMSTが有意に延長されていたが(P=0.005, P =0.044).多変量解析でNLR(<3.9/≧3.9;ハザード比1.550;95%CI 1.125―2.394; P =0.005)と組織型(Intestinal/Diffuse;ハザード比1.457;95%CI 1.043―2.598; P =0.042)が有意な予後予測因子であった.【結論】NLRは治癒切除不能進行再発胃癌患者の化学療法時における予後予測マーカーとなり得る.