外科と代謝・栄養
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特集 「重症患者の長期予後を見据えた栄養療法と運動療法」
ICU‐AWに対する栄養療法と運動療法の関わり
飯田 有輝陳 真規
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2020 年 54 巻 3 号 p. 134-138

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抄録

 ICUにおける重傷者の救命率は改善している一方, 退院後の生活復帰の低下が問題となっている. 特にICU‐acquired weakness (ICU‐AW) は回復期の身体機能やADLの獲得を遅延させ中長期的な予後に影響を与えるため, リハビリテーションと栄養療法は重要な治療の一つであると考える. 侵襲下では筋蛋白質が分解されエネルギーに転換される. また不動状態が続くことで, さらに異化が亢進し筋肉量が減少する. 一方, 侵襲下における内因性エネルギー供給増加を考慮せず栄養を投与することでover feedingとなり, むしろ予後は悪化する. 重症患者の栄養療法はtrophic feedingが推奨されているが, 高蛋白質投与の有効性について多数報告されている. 重症患者の身体機能の回復を最大限に引き上げる取り組みとして, 適切なリハビリテーションと栄養療法の併用が重要である. 本稿では侵襲下における身体機能低下の病態を概説し, 当院ICUにおける栄養プロトコールと運動療法のステップアップ基準について紹介する.

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© 2020 日本外科代謝栄養学会
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