2026 年 60 巻 2 号 p. 46-49
外科代謝栄養学の神髄は, 手術侵襲という劇的な生体反応を分子レベルで解明し, 臨床予後を改善することにある. 本稿では, 福島県いわき市の中規模病院において, 一外科医が周囲の支援のもとで取り組んでいるトランスレーショナルリサーチの実践報告をする. われわれは, 消化器癌周術期におけるビタミンD代謝産物の網羅的解析と, マウス・ラットモデルを用いた遺伝子発現解析により, 術後早期にビタミンD分解酵素 (CYP24A1) が骨格筋や腎臓で誘導され, これが「ビタミンD抵抗性」やサルコペニアの一因となる可能性を見い出した. 本研究は, 臨床の最前線で生じた疑問を, 併設された研究所とスタッフの協力によって基礎実験へと昇華させたものである. このような取り組みが後進の道標となり, 集学的治療の一環としての「代謝栄養学」の発展に少しでも寄与できれば幸いである.