土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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ノハナショウブ群生地の土壌水分の変動について
星 透藤井 克己倉島 栄一
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2006 年 103 巻 p. 49-56

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抄録

近年の圃場整備事業の主要な目的は,農業生産性を高く維持しつつ環境を保全することとなっている。本研究では,岩手県花巻市「ノハナショウブ群生地」における土壌の水分動態を把握し,それらの気象•水文条件との関わりを検討するため,現地計測をおこなった。調査地では,圃場整備事業以降,ノハナショウブ花茎数が著しく減少している。現地の土壌は,常に飽和に近い状態で保たれており,浅い土壌における体積含水率の年変動は池水面及び止水壁から遠い地点では変動幅が大き く ,近い地点では小さいことが見いだされた。また,降雨による体積含水率の変化は鈍いが,池水位低下による減少は明らかであった。これらにより,ノハナショウブ生育と環境保全には,土壌水分の適度な乾湿の必要性が示唆された。

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© 2006 土壌物理学会
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