北海道の泥炭農耕地土壌の実態と特性を解説した。分布面積は広く,水田が 5.6万 ha,畑•草地が 4.5万 haある。泥炭土水田は客土による無機質層が厚く,泥炭土の定義に合致しないほ場が多い。自然土壌に比べ,地下水位が低下し,表土(無機質層)が作られ,排水に伴い泥炭層の圧密•収縮,分解が起こっている。作物生産力は,水田では一般に高いが,米のタンパク含量が高くなりやすい。草地では,水分供給能が高い反面,地耐力が劣り,総合的に生産性が低い。表土の理化学性は,粘質土壌に比べて物理性は良好で,炭素含量が多い。土壌の経時変化を見ると,排水に伴う泥炭層の圧密•収縮,分解により,ほ場面が沈下して行く方向にある。沈下は水田よりも転換畑利用時に大きい。表土の理化学性は,水田で炭素含量が増加している点以外は,変化の傾向は判然としない。
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