抄録
インドネシア国ランポン州のパイナップル農園を対象にして,籾殻とタピオカ残渣(キャッサバの絞りかすとキャッサバの表皮)を土壌改良材として使用した時,土壌の物理性と生物的特性に与える効果を検証するために15ヶ月間の圃場実験を実施した。試験区は,対照区,籾殻で土壌面をマルチした試験区,キャッサバの絞りカスで土壌面をマルチした試験区,キャッサバの表皮で土壌面をマルチした試験区,キャッサバの表皮を土壌に混合した試験区,黒ビニールで土壌面をマルチした試験区からなる。実験開始時と実験終了後(実験開始から15ヶ月後)の土壌の物理性と生物的特性について調査し比較した。実験開始後15ヶ月目においても,籾殻マルチ試験区の表層土壌における有機物含有量が増加し,真比重が減少し有効水分量が増加するなど土壌の物理性を持続的に改善する結果が得られた。一方,キャッサバの絞りカスや表皮を利用した試験区では,実験開始から15ヶ月後,それらの分解が土壌の物理性を改善できなかった。しかしながら,これら有機物資材の施用は,雨季においてミミズの個体数を増加させ,その結果,土壌の乾燥密度を減少させ,大間隙や耐水性団粒を増加させた。乾季においては,土壌水分量が大きかった籾殻マルチ区のみミミズの個体数が増加した。