抄録
誘電率水分計は,その出力値が温度に依存することが知られており,正確な土壌水分決定のためには校正が必要である。本研究では,静電容量法を採用した安価な誘電率水分計として知られるECH2O土壌水分プローブ(Decagon Devices)を対象とし,室内実験を用いた温度依存性の補正手法を提示した。供試土に中国黄土高原の黄土を用い,水分量が既知の土壌に温度変化を与え,出力値•水分•温度の関係を明らかにした上で,経験的な校正式を導いた。また,校正試験の結果を元に,本プローブの温度依存性の理論的背景に関する考察を行った。さらに,得られた校正式を中国黄土高原における土壌水分モニタリング結果に対し適用し,校正式の妥当性と乾燥地環境下における温度依存性校正の重要性について検討した。