土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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多周波数電磁探査法による土壌環境モニタリング
平井 優也森 也寸志宗村 広昭江草 直和森澤 太平
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2008 年 109 巻 p. 3-14

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抄録

流域管理において,面源負荷源たる森林,畑地,水田の広域調査では,迅速かつ非破壊の試験方法が望まれる。そこで,非破壊土壌環境モニタリング技術として,森林,水田,果樹園,茶畑で多周波数電磁探査を行い,水分の増減や施肥による電気伝導度の変化,また土地利用の違いを面的に,かつ鉛直方向に調査した。従来法による表層電気伝導度は最高周波数から得られる値とほぼ一致し,森林での降雨前後や水田での湛水前後の変化,畑地での施肥の影響を示すことができた。圃場の水分の増加は深部にわたる伝導度の増加,施肥による影響は表層付近の伝導度の増加として区別することができ,多深度調査ができる利点が得られた。土地管理の違いを伝導度の違いとして表すことができ,流域全体での管理を行う場合に非常に有効であることを示すことが出来た。これらの値の変化は数十mSm-1以下で生じており,従来示されてきた探査よりずっと低濃度である。このような低濃度を示す農林地で,多周波数による検証を行った例は恐らく初めてで,圃場管理や流域水管理など多周波数電磁探査機の土壌環境計測への可能性を示すことが出来た。

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© 2008 土壌物理学会
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