土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
Evaluation of the potentialities of different soil types to yield response of soybean under deficit irrigation
Shakil Uddin AHMEDMasateru SENGEKengo ITOJohn Tawiah ADOMAKO
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 113 巻 p. 13-19

詳細
抄録
土壌特性の違いが節水灌漑下におけるダイズ収量への影響を評価するために,2007 年 6 月から 11 月 にかけて岐阜大学内のビニールハウス内で,次の二因子で三反復の栽培実験を実施した.第一因子は土壌特性の相違であり,Inceptisol(clay loam), Ultisol(sandy clay),Andisol(sandy loam)の3つの土壌型に分かれる.第二因子は土壌水分管理の方法であり,圃場容水量からの土壌水分欠損量(D)によって処理した.すなわち,土壌水分欠損量が総容易有効水分量の 0∼25 % (D1),25∼50 % (D2),50∼75 % (D3),75∼100 % (D4) の 4 レベルの試験区を設けた.ダイズの総消費水量は,3 種類の土壌型とも土壌水分欠損レベルが増加するにつれて減少し,同じ土壌水分欠損レベルでは,Inceptisol の総消費水量が最大となり,次いで Ultisol,Andisol の順に大きい.単位面積当たりの穀物収量も,同じ土壌水分欠損レベルに対して Inceptisol が最大となり,次いでUltisol,Andisol の順に大きい.収穫効率(単位消費水量当たりの収穫量)は,土壌水分欠損レベルによって強く影響され,その値は 3 種の土壌型とも D3 レベルで最大となった.しかし、収穫効率の最大値は 3 種の土壌間で有意な差が見られなかった.収量反応係数(Ky:消費水量減少量に対する収穫減少量の比)は,土壌水分欠損量が総容易有効水分量の 50∼75 % (D3 レベル)以下の場合は,Inceptisol (Ky = 0.42) で最小となり,次いで Ultisol (Ky = 0.64),Andisol (Ky = 0.87) の順に小さくなる.以上のことから,3種の土壌型の中で,土壌組成が最も細かい Inceptisol における節水灌漑が経済的な水利用の観点から最も有効であることが明らかになった.
著者関連情報
© 2009 土壌物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top