抄録
TDR プローブを岩石に設置する際にはプローブと岩石試料との間に隙間が発生することがある.本研究では,既知の隙間を持つプローブを用いて水と空気の比誘電率を計測し隙間の影響を評価した.隙間の影響に関する理論解および数値解が存在する 2 ロッド型プローブについて,両ロッドに対称に隙間がある場合,片方のロッドのみに隙間がある場合,そしてロッド先端以深に隙間がある場合について検討した.対称な隙間のケースでは,水と空気の比誘電率の計測値は理論解および数値解とよく一致した.非対称のケースでは隙間幅が比較的小さい場合は数値解と一致したが,隙間幅が大きくなるとともに実験結果の方が数値解より大きな影響を示した .実験結果および数値解の差異は隙間が同軸ケーブルの芯線に接続したロッドにある場合により顕著に見られ,ロッド間で感度が異なることがわかった.ロッド
先端部以深の隙間の影響は小さかったが,ガイド孔が緩い場合やプローブ周辺の土壌で乾燥収縮が発生するような場合には含水率が過小評価される可能性があることが示された.