抄録
土壌の音響理論の発展にともない土壌の物理性の音響測定法が研究されてきたが,通気係数の測定法に関する研究は不十分である.またその発展段階で土壌の気相構造を特徴づけるスケールを音波によって評価できる可能性が指摘されたが,その値や水分条件との関係は明らかになっていない.そこで本研究では,通気係数の測定を完成させ,気相率と通気係数の音響測定を通して気相構造の特徴的スケールを求めることを目的とした.音響理論に気相率と屈曲度の関係を組み合わせ,音響インピーダンスから気相率と通気係数を計算する式を導出した.試料として鳥取砂丘砂を用いた.結果,気相率の推定誤差は14 ~ 34% の範囲において最大 15% 程度,通気係数の推定誤差は 0.2 ~ 3cm s-1 の範囲において最大 3 倍程度となった.また,試料には特徴的スケールを持つ気相の集まりとみなせるものが存在し,その値は 0.6 ~ 3.7cm 程度で,おおよそ気相率に比例することが明らかとなった.