土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
古典を読む J. R. Philip and D. A de Vries 著 「温度勾配下における多孔体中の水分移動」を基にした研究展開 -液島モデルからマイクロ・ヒートパイプモデルへ-
粕渕 辰昭百瀬 年彦坂口 巌
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2011 年 119 巻 p. 53-64

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抄録

Philip ら(1957)の提案した液島モデルのもつ問題点を,Gurr らの実験データ(1952)とあわせて検討し,液島モデルには、①土粒子を覆う水膜がないこと,②水蒸気移動が最大になるときの初期水分値が低いことを示した.この問題点を克服するには,土がヒートパイプ現象を有することを明らかにする必要があった.そのため最終的に,減圧下で定常温度勾配を与えた土の熱流量と水分量とを同時に測定できる定常熱フラックス測定装置を開発するとともに,それを用いて火山灰土について気圧,水分量を変えた実験を行った.この結果,中・高水分量域において,土がヒートパイプとして機能することを明らかにし,マイクロ・ヒートパイプモデルとして表現した.

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© 2011 土壌物理学会
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