2011 年 119 巻 p. 53-64
Philip ら(1957)の提案した液島モデルのもつ問題点を,Gurr らの実験データ(1952)とあわせて検討し,液島モデルには、①土粒子を覆う水膜がないこと,②水蒸気移動が最大になるときの初期水分値が低いことを示した.この問題点を克服するには,土がヒートパイプ現象を有することを明らかにする必要があった.そのため最終的に,減圧下で定常温度勾配を与えた土の熱流量と水分量とを同時に測定できる定常熱フラックス測定装置を開発するとともに,それを用いて火山灰土について気圧,水分量を変えた実験を行った.この結果,中・高水分量域において,土がヒートパイプとして機能することを明らかにし,マイクロ・ヒートパイプモデルとして表現した.