抄録
湿潤気候の日本において畑作物の増産を図るには,効率的な農作業性と安定した農業生産性を確保する圃場の排水改良が必要である.特に,最近の極端な気象の条件下では,農業者の排水改良に対する期待も大きい.本報では,畑作物生産における減収要因の一つである湿害に対する排水改良の効果を示す.また,現在の畑土壌に対する排水改良について,積雪寒冷地における取り組みを紹介する.特に,農業で発生する地域の資材を有効活用する簡便な排水改良技術や資材を使用しない新たな低コスト排水改良技術の事例を示す.さらに,各地域の農業や土壌に対応して,各種の排水改良技術を組み合わせることの重要性を指摘する.