抄録
インゲンマメ19品種の初生葉を用いて播種後12日に0.6ppmのオゾンを2時間接触させた.可視被害の程度はクロロフィルの減少率によって定量化し, 葉中の糖濃度, 浸透ポテンシャル, 蒸散, 拡散抵抗との関係について検討した.
19品種のオゾン感受性は葉全体が壊死する品種から, ほとんど肉眼的には被害が認められない品種もあり, その症状は多様で品種によって感受性が異なることが明らかに認められた.オゾン感受性の高い品種は全糖濃度, とくに還元糖濃度が低く, 浸透ポテンシャルは低かった.
また, 蒸散が大きい品種ほどオゾンによる被害が大きかったが, 拡散抵抗と被害との間には明確な関係は認められなかった.
これらのことから, 葉中糖濃度, 浸透ポテンシャルの構成要素などがオゾンに対するインゲンマメの感受性に対して何らかの形で関与していることが推察された.また少なくとも葉齢が同じである場合には葉中糖濃度はオゾン感受性の指標となる可能性が認められた.