土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土性や有機物含量による土壌クラスト強度の違いが転換畑でのダイズ出芽に及ぼす影響
塚本 康貴竹内 晴信北川 巌
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 121 巻 p. 3-8

詳細
抄録

転換畑での土壌クラストによる硬化がダイズの出芽に与える影響程度を解析し,堅密な土壌クラストが生成する土壌要因について,粒径と土壌有機物含量の点から検討した.クラスト硬度計値が 10 mm(0.35 MPa)以上でダイズの出芽率が 60 % を下回り,種子の発芽を妨げる土壌クラスト硬度計値は概ね 10 mm 以上と考えられた.また粘土含量が 0.20 kg kg-1 以上,シルト含量では 0.30 kg kg-1 以上,砂含量では 0.50 kg kg-1 未満になるとクラスト硬度計値が 10 mm 以上となる土壌が多くみられたが,砂含量が 0.5 kg kg-1 未満の土壌においても,強熱減量が 0.13 kg kg-1 以上,全炭素含量 0.06 kg kg-1以上であるとクラスト硬度が全て 10 mm 未満となった.強熱減量や全炭素含量の増加に伴うクラスト硬度の低下は,土壌有機物による団粒の安定化と,粗大有機物による粒子間の充填・結合を妨げる作用によるものと考えられ,粗大有機物を含めた土壌中の有機物含量を高めることで土壌クラストを軽減する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2012 土壌物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top