土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
121 巻
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  • 安中 武幸
    2012 年 121 巻 p. 1-
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
  • 塚本 康貴, 竹内 晴信, 北川 巌
    2012 年 121 巻 p. 3-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    転換畑での土壌クラストによる硬化がダイズの出芽に与える影響程度を解析し,堅密な土壌クラストが生成する土壌要因について,粒径と土壌有機物含量の点から検討した.クラスト硬度計値が 10 mm(0.35 MPa)以上でダイズの出芽率が 60 % を下回り,種子の発芽を妨げる土壌クラスト硬度計値は概ね 10 mm 以上と考えられた.また粘土含量が 0.20 kg kg-1 以上,シルト含量では 0.30 kg kg-1 以上,砂含量では 0.50 kg kg-1 未満になるとクラスト硬度計値が 10 mm 以上となる土壌が多くみられたが,砂含量が 0.5 kg kg-1 未満の土壌においても,強熱減量が 0.13 kg kg-1 以上,全炭素含量 0.06 kg kg-1以上であるとクラスト硬度が全て 10 mm 未満となった.強熱減量や全炭素含量の増加に伴うクラスト硬度の低下は,土壌有機物による団粒の安定化と,粗大有機物による粒子間の充填・結合を妨げる作用によるものと考えられ,粗大有機物を含めた土壌中の有機物含量を高めることで土壌クラストを軽減する可能性が示唆された.
  • 原口 暢朗, 北川 巌, 友正 達美, 嶺田 拓也, ZUKEMURA Chika, 若杉 晃介
    2012 年 121 巻 p. 11-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震に伴う巨大な津波により被災した農地の面積は,宮城県では約 15,000 ha に達した.農地への土砂やガレキの堆積など複数の理由により,同県の被災農地のうち当該年の栽培に向けた除塩面積はわずか 1,150 ha に止まった.筆者らは,未復旧の被災農地の調査を通じ,(i)農地へのガレキの堆積の様式は,高速道路の盛土や海岸からの距離によって影響されること,(ii)津波により農地に堆積した泥土の電気伝導度は高く,硫黄含有量も多いことから,栽培への影響が懸念されること,(iii)被災農地では耐塩性の高い雑草が占有してきており,防除が必要であること,を明らかにした.現在,震災から1年が経過し,同県における農地の復旧面積は 5,250 ha(復旧率約 40 %)に達した.未復旧の被災農地を含む今後の課題として,海岸に近い農地における排水不良および地域的な地下水の塩水化を指摘した.
  • 冠 秀昭, 関矢 博幸, 遊佐 隆洋, 大谷 隆二
    2012 年 121 巻 p. 19-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    An electromagnetic measurement with GEM‒2 was examined as a simple and rapid method for measuring soil electrical conductivity (EC) in tsu-nami‒inundated farmlands. The apparent soil electrical conductivity (ECa) ascertained using GEM‒2 was too high according to the increase in the application rate of potassium chloride in a pseudo‒seawater inundated field of which the EC had been adjusted using potassi-um chloride spraying. Furthermore, results for ECa were correlated with those obtained using a soil EC sensor. These results showed that differences in ECa values were obtainable through nondestructive and noncontact sensing with GEM‒2 in tsunami‒inundated farmland. The overlying contour plot measured using GEM‒2 on the map, such as Google Earth, was able to easily provide more information about the relation be-tween ECa and terrain condition. Measuring ranges in the depth direction according to the GEM‒2 measure-ment at 80 kHz frequency were regarded as affecting all layers from the fi eld surface to at least 1 m below without limited to only the fi eld surface. We can com-pare EC1:5 and ECa by using the soil EC sensor to-gether with GEM‒2, thereby rapidly investigate for salt leaching while working in tsunami‒inundated farmlands.
  • 千葉 克己, 冠 秀昭, 加藤 徹
    2012 年 121 巻 p. 29-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
    東日本大震災の大津波によって,宮城県では約 1 万 5 千 ha の農地が海水の浸水による塩害を受けた.農地の除塩は大量の真水(灌漑水)を導水し,塩類を大量の水とともに農地外に排出することが基本であり,その実施には排水経路の確保が必要である.しかし,この震災では基幹的な排水施設が壊滅的な被害を受けたため,ほとんどの農地で排水経路が確保できず,灌漑水を利用した除塩ができない状況に陥った.そこで筆者らは宮城県名取市内の津波被災農地において暗渠を利用した自然の雨水による浸透水除塩の効果を検討した.その結果,降雨により暗渠から大量の塩類が圃場外に排出されること,また弾丸暗渠を施工し,地下排水機能を高めることで除塩効果が高まることがわかった.したがって,塩害を受けた農地の復旧には暗渠排水の整備と利用が重要である.
  • 若杉 晃介, 原口 暢朗
    2012 年 121 巻 p. 35-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
    東京電力福島第1原発の事故に伴い,広範囲にわたる地域が放射性物質により汚染され,土壌中の放射性物質濃度が高い農地では栽培が制限されている.これらの農地において放射性物質は,表層 2~3 cmに集積していることから,この土壌層の選択的な除去は,確実な除染効果が期待できる.一方,一般的な建設機械による従前の操作では,剥ぎ取り厚さの制御が困難であり,処理土量の増加や施工費の増大,取り残しの発生など,多くの問題が懸念されている.そこで,土壌固化剤を用いて汚染土壌層を固化し,油圧ショベルの操作方法やバケットを改良することで,剥ぎ取り厚さを表層から2~3cm に制御でき,かつ安全・確実に剥ぎ取る工法を開発した.
  • 奥島 修二, 塩野 隆弘, 石田 聡, 吉本 周平, 白谷 栄作, 濵田 康治, 人見 忠良, 樽屋 啓之, 今泉 眞之, 中 達雄
    2012 年 121 巻 p. 43-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
    東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性セシウムが飛散した農地等における土壌の放射能汚染が深刻化している.本研究では,計画的避難区域である福島県飯舘村の水田を対象として選定した.浅代かき強制排水の除染実験の前に,現地圃場における放射性セシウムの分布実態を調査した.その結果,放射性セシウムは表層 2.5 cm の土に 95 % の放射性セシウムが分布しており,ストークス径が 0.02 mm 以下の細粒分の土に主に吸着していることを明らかにした.この結果に基づき,コンテナを用いた浅代かき強制排水の除染実験を行った.その結果,浅代かき強制排水の除染は少ない排土量で圃場の放射性セシウム濃度を低下させる除染法となる可能性が示された.
  • 小林 浩幸, 高橋 義彦
    2012 年 121 巻 p. 49-53
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
    2011 年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴って生じた汚染土壌にヒマワリ,アマランサスなどの植物を植えて放射性セシウムを吸収させることで除去できるかどうかが緊急に試された.しかし,除去量はごくわずかで,試された品種,条件の範囲では実用化は困難と判断された.一方で,福島市などの一部の水田では当初の想定を大きく上回る放射性セシウム濃度の玄米が収穫されるなど,条件によって植物体への移行量は大きく変化することがわかった.また,高吸収とされている植物種・品種は他にも数多くあり,それらの能力は未検討のままである.植物の吸収による放射性物質除去技術の実用化のためには,土壌からの吸収メカニズムの解明に基づいて,さらなる高吸収種・品種を探索し,適切な栽培条件を明らかにすることが必要である.
  • 斎藤 広隆, 取出 伸夫
    2012 年 121 巻 p. 55-63
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
    地表面蒸発に伴う土中水分移動について,成層土の場合と地下水からの水分供給がある場合を検討した.下端を閉じて水分飽和した上層 2 cm,下層 48 cm の成層土は,上層が砂質ローム,下層がシルトの場合,急速な上層の乾燥と下層の低い水分供給能力により,単層土と比較して恒率乾燥段階が短くなり蒸発が抑制される.上層がシルト,下層が砂質ロームの場合,飽和した下層からの水分供給能力が高く,恒率乾燥段階が長くなり蒸発が促進されるが,減率乾燥段階において下層の砂質ロームの乾燥による透水係数の低下により蒸発速度が減少する.一方,地下水からの水分供給があるときは,大気の蒸発能が大きい場合,最大定常蒸発速度に収束する.最大定常蒸発速度は地下水深さに対して指数関数的に減少するが,砂質ロームはシルトに比べて減少が大きく,Gardner(1958)の定常解析の関係と良く一致した.
  • 臼井 靖浩
    2012 年 121 巻 p. 65-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
  • 岩田 幸良
    2012 年 121 巻 p. 68-
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/26
    ジャーナル フリー
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