抄録
十勝の有機物(収穫残さ,緑肥,家畜ふん尿)利用の実態について,本会が 1999 年に取りまとめた十勝管内土づくり実態調査報告書を中心に紹介する.(1)収穫残さは直接圃場にすき込まれている割合が高く,小麦の麦稈は敷料として酪農・畜産農家へ交換・売却されている割合が高い.(2)緑肥については小麦収穫後にえん麦が作付されている割合が高く,一部えん麦野生種についてはセンチュウ抑制のために作付けされていると考えられた.(3)十勝管内で発生する家畜ふん尿は,ほとんどが牛の排泄物で主に農地還元されており,酪農地域では過剰に投入されている傾向が見られるため,畑作地域への有効活用に向け,堆肥の高品質化や広域流通等の課題解決に向けた取り組みが求められている.