土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土壌中の放射性 Cs の移動
西村 拓
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2014 年 126 巻 p. 37-43

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抄録
Cs+ は 2 : 1 型粘土鉱物の端面の Frayed edge site(FES)や面部の六員環に非常に強く捕捉される.ただ,Cs+ が FES に捕捉されるまでには 100 日スケールの時間を要する.本稿では,イオン態で存在する Cs+ の土壌中で予想される移動と Cs+ が有機性コロイドに収着して移動したと考えられるケースを紹介する.イオン態で存在する Cs+ について,線形ではなく Freundlich 型吸着等温線を用いて土壌中の移動を数値計算で検討したところ,Cs+ の移動が初期状態の時に存在するイオン種に影響を受ける結果となった.一方,リター層が林床を覆うような林地で調査した結果では,土中の放射性 Cs の深さ分布が土壌の全炭素量や C/N 比と高い相関を示した.これは,Cs+ が分解しつつある有機物と共に下方に移動していることを示唆している.
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© 2014 土壌物理学会
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