抄録
熱応答試験は地盤の熱伝導率を求める方法として広く用いられてきた.しかし,従来の方法は,熱応答試験データの解析に用いられているケルビン線源関数の指数積分 E(X) のべき級数展開のうち最初の 2 項のみを利用しているため,パラメータの同定精度が悪くなることがある上,試験時間を長くとる必要があった.ここでは,より高次項までを評価し,熱伝導率とともに体積熱容量関連パラメータも同時に同定できる逆解析法を紹介する.本法を用いると,TRT の早期データも利用できるため試験時間が短縮できるうえ,正確に熱伝導率が評価できる.そこで,本法の土壌物理分野への応用を念頭に,様々な条件下にあるフィールドに適用された事例を紹介する.