抄録
沖縄県糸満市の米須地下ダムを対象として,塩水侵入阻止型地下ダムの貯留域に残留する塩水塊の分布と挙動について検討した.現地での一斉観測の結果から,止水壁の締め切りから十数年が経過して地下ダムが運用されている現況での残留塩水塊の分布が明らかになり,止水壁締め切り直後から現在までの間に塩水分布が拡大していないことが示された.また,自記計による連続観測の結果からは,降水時に止水壁沿いで電気伝導度が上昇する現象が捉えられた.このことから,既往の文献において指摘されている越流時の残留塩水の押し上げが起こっていることが推察された.