Long-term temporal changes in micromorphology of cattle manure compost pellets mixed with soils

抄録

堆肥ペレット（PC）は，養分の保持供給特性や温室効果ガス発生などの様々な特性が非成型の堆肥と異なっており，それは微細形態に起因すると考えられるが，PC の微細形態に関する知見は少ない．そのため，PC の微細形態特性の解明は適正な利用を行う上で重要である．そこで，圃場に施用した PC の分解に伴う微細形態の経時的変化を調査するため，牛ふん堆肥の PC を九州沖縄地域の代表的な農耕地土壌である低地土，黄色土，黒ボク土と共に塩化ビニール管に封入し，圃場に埋設して，1 月，6 月，18 月後の微細形態を樹脂固化薄片法で観察した．また分解速度をガラス繊維ろ紙埋設法で調査した．その結果，1) PC の重量残存率と炭素残存率は最初の 6 月でそれぞれ 73 % – 80 % と 58 % – 75 % まで減少し，以後は分解速度が低下して，18 月後にはそれぞれ 59 % – 62 % と 46 % – 52 % になった．2) 分解に伴い PC は最初の形と相似形を保ったまま体積が減少した．18 月後の体積残存率は低地土で 28 %，黄色土で 43 %，黒ボク土で 39 % となった．体積の減少に対応する量の孔隙が PC の周囲に形成された．3) 黄色土と混合した PC はクラックによって輪切り方向に離断され，曲がった断片になったのに対し，低地土と黒ボク土ではこの離断は見られなかった．4) PC 内部の微細形態は全ての土壌において埋設 1 ∼18 月の間では明瞭な経時変化を示さず，微細構造型は全試験期間，壁状構造（massive microstructure）ないしペッドの分離が悪い亜角塊状構造（subangular blocky microstructure）だった．