土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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帯鋼補強土壁の交換への地盤凍結工法の適用
長田友里恵相馬啓青木信哉渡辺晋生
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2019 年 143 巻 p. 17-23

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抄録

帯鋼補強土壁は日本で採用されてから45 年以上が経過し,今後は維持管理技術が求められる.壁面材の交換において,従来は水ガラス系固化剤を注入し盛土材の崩落を防止していたが,施工後の排水層の透水性への影響が懸念される.そこで固化材を使用せずに地盤を固結する地盤凍結工法が注目される.しかし地盤凍結工法は従来飽和土を対象とすることが多い.そこでここでは,帯鋼補強土壁の背面盛土のような不飽和土への地盤凍結工法の適用性を検討した.冷却システムにはCO2を冷媒に用い,補修作業に要するスペースを削減した.実証実験では10.8 m~2.4 m の帯鋼補強土壁背面に60.5 mm の凍結管を0.6 m 間隔に6 本設置し凍土造成した.4 日間凍結後,壁面材交換を行ったが,背面盛土のこぼれ出しはなかった.帯鋼補強土壁背面の不飽和土の凍土造成の速さを飽和条件と同等にするためには,飽和土のモデルとの比較や室内実験から,飽和体積含水率0.4 m3 m-3 に対して0.2~0.3 m3 m-3 に体積含水率を保持することが望ましいと示唆された.体積含水率や水流が凍結膨張に及ぼす影響や壁面材交換時の施工技術等,今後さらなる検討が必要である.

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© 2019 土壌物理学会
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