抄録
機械学習を活用した粘質土中の見かけの誘電率(ε )予測の有効性を明らかにするために,干拓農地において収集した土壌および気象の長期観測データをもとに,線形回帰およびランダムフォレスト回帰(RF回帰)による6,12,24,48 時間後のε 予測モデルを構築した.線型回帰を適用した場合,概ね実測値と連動するε の予測値が得られたものの,降雨時には実測値を大きく超過した予測値が得られた.一方,RF 回帰を適用した場合,最低でも予測実施時刻直前の72 時間分のデータセットを説明変数として予測モデルに組み込む必要があるものの,線型回帰の場合よりも正確に指定日時のε を予測することができた.予測対象地点の土壌· 気象の長期観測データを利用できる場合,粘質土を含む構造変化を伴う土壌に対する自律的水分予測手段として,RF 回帰を利用した機械学習は有用であると考える.