抄録
土壌中の浸透流は,本来,間隙スケールで生じる微視的な水の流れに支配されるものであるが,実務や工学的解析においては,巨視的な浸透挙動を把握することが主な目的となることが多い.本稿では,この微視的現象と巨視的挙動とを結び付ける理論的手法として体積平均操作を取り上げ,その考え方と物理的意味を解説する.体積平均および相体積平均の定義を示し,平均量に対する空間微分および時間微分の関係を整理した後,飽和土を対象としてNavier-Stokes 方程式に体積平均を施し,ダルシー流速と平均的な間隙水圧が満たす支配方程式を導出する.その過程を通じて,微視的な流れとダルシー則との関係を明らかにする.さらに,流体領域と多孔質体領域に跨る流れ問題を例に,平均化方程式を用いることで,異なる領域の流れを連続的に扱えることを示す.