抄録
沿岸干拓地では,浅い地下水位の急変や除塩管理に伴う土壌の準飽和化により,従来の平衡張力型ライシメータでは下端境界の制御が不安定となる.本研究では,ローラ式チューブポンプによる双方向の給排水と太陽光発電で自律運転可能な下端境界制御型重量式ライシメータ(LBC-WL)を開発した.内筒底部の圧力水頭hb と,周辺土壌で測定した外部参照水頭hout を連続的に比較し,hb をhout の所定許容範囲に維持するように制御し,待機時間を導入して安定化を図った.実験室の検証試験により,圃場容水量から準飽和条件までにおけるhb の追従性と質量収支の整合を確認し,またガラス温室の試験では許容範囲拡大により過度なポンプの頻繁な作動を抑制できた.沿岸干拓地における除塩期間中の適用試験では,概ねhb = hout±10 ∼ ±15 cm を維持し,除塩後の乾燥過程の蒸発量を10 分分解能で定量できた.LBC-WL は浅い地下水の影響下にある管理農地で蒸発· 水収支過程の解明に有効である.