土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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樹皮繊維の混入による土壌の物理的性質への影響
ラシド ブルハヌッディン藤井 克己藤崎 浩幸
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2004 年 96 巻 p. 89-96

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抄録

樹皮(バーク)の粘質土,砂質土への混入による三相分布,土壌硬度,透水係数,保水性への影響を調べた。バークの添加は乾燥重量で 0.0 %, 1.0 %, 2.0 %, 3.0 %, 4.0 %, 5.0 %として調整した。土壌硬度はハンディ型コーンペネトロメ ータ(山中式硬度計)にて測定し,透水係数は変水頭試験法,保水性は吸引法と遠心法により求めた。バークの添加は両試験土の三相分布を変化させた。特に砂質土では, 5 %のバーク混入により固相率が31%も減少するという顕著な結果が得られた。土壌硬度は両試験土とも,試料の締固め段階の方が切出し段階よりも大きい。例えば粘質土の締固め段階で 14.4 kgf/cm2 ( 0 %バーク)から 10.5 kgf/cm2 ( 5 %バーク)へと減少するのに対し,その後の切出し段階では最大値9.7 kgf/cm2 ( 1 %バーク)から最小値 7.4 kgf/cm2 ( 3 %バーク)へと小さく変化した。透水係数は粘質土では5%バーク混入による最大値( 3.51 × 10-4 cm/s)まで増加したが,砂質土の場合はバーク混入の度合いと透水性の変化は合致しなかった。砂質土では 5 %の樹皮混入により,含水率の増加がpF 0.8 ( -0.60 kPa)で 4.13 %, pF 2.7 ( -50 kPa)で 4.04 %,pF 5.5 ( -31 MPa)で 4.01% とほぼ一定に保たれたのに対し,砂質土ではpF 0.8 ( -0.60 kPa)で 1.40 %がpF 4.2 ( -1.5 MPa)で 0.01 %と減衰した。本研究は樹皮繊維の混入が粘質土,砂質土の物理性にともに影響しうることを立証している。

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© 2004 土壌物理学会
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