抄録
ストーマおよびストーマ周囲静脈の怒張,拡張をきたすものをストーマ静脈瘤と報告されているが,明確な診断基準は示されていない。今回8例のストーマ静脈瘤と思われる症例を経験したので,その診断基準について検討した。症例は男性5例,女性3例で平均年齢は56.7歳,全例大腸癌術後であった全例に門脈圧を亢進させると思われる原疾患があり,ストーマ粘膜と皮膚接合部またはストーマ周囲皮膚に静脈の拡張,怒張があり,ストーマ周囲皮膚の色調の変化を認めた。またストーマ粘膜の静脈瘤形成は3例であった。
以上よりストーマ静脈瘤の診断基準は,1. 門脈圧亢進をきたす可能性のある疾患がある,2. ストーマ周囲皮膚およびストーマ粘膜皮膚接合部に静脈の怒張,拡張を認める,3. ストーマ周囲皮膚に原因不明の色調の変化などがあげられる。さらにストーマ粘膜の静脈瘤の存在は診断の助けとなる。これらに出血を伴うものを出血性ストーマ静脈瘤とした。