日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
9 巻, 1 号
9巻1号(通巻18号)
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
表紙・目次
原著
  • 塚田 邦夫, 徳永 恵子, 岩間 毅夫, 三島 好雄
    1993 年 9 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     俳優Wの直腸癌手術マスコミ報道について,オストメイト26名と看護婦39名に感想を聞いた。オストメイトのなかで,心理的社会復帰が未復帰,中等度復帰,復帰良好の3群に分けると,その報道に関心を寄せた人はそれぞれ25%,85%,33%であり,中等度復帰群で優位に高い関心を示した。ストーマ造設後のケアでは,経時的に心理状態が変化することを念頭におかなければならない。
     オストメイトは71%が同化や同情を示し,有名人の報道を54%が望み,この点は看護婦と違っていた。看護婦では,36%が「ストーマ=癌」のイメージを心配したがオストメイトの感覚とずれていた。
     マスコミは輿味本位の報道はやめ,オストメイトに希望を与えるものをやって欲しい。
  • 岩本 公和, 尾崎 晴美, 渡辺 直哉, 笹屋 一人, 久保 寿朗, 三浦 英一朗, 小室 恵二, 伊坪 喜八郎
    1993 年 9 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     ストーマおよびストーマ周囲静脈の怒張,拡張をきたすものをストーマ静脈瘤と報告されているが,明確な診断基準は示されていない。今回8例のストーマ静脈瘤と思われる症例を経験したので,その診断基準について検討した。症例は男性5例,女性3例で平均年齢は56.7歳,全例大腸癌術後であった全例に門脈圧を亢進させると思われる原疾患があり,ストーマ粘膜と皮膚接合部またはストーマ周囲皮膚に静脈の拡張,怒張があり,ストーマ周囲皮膚の色調の変化を認めた。またストーマ粘膜の静脈瘤形成は3例であった。
     以上よりストーマ静脈瘤の診断基準は,1. 門脈圧亢進をきたす可能性のある疾患がある,2. ストーマ周囲皮膚およびストーマ粘膜皮膚接合部に静脈の怒張,拡張を認める,3. ストーマ周囲皮膚に原因不明の色調の変化などがあげられる。さらにストーマ粘膜の静脈瘤の存在は診断の助けとなる。これらに出血を伴うものを出血性ストーマ静脈瘤とした。
  • 清水 裕子, 清水 久和, 板谷 かつ子
    1993 年 9 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     千葉県南房総地域における約20症例の患者を対象として,9症例の分析を行った。それらの症例は,術前から死に至るまでのあらゆる時期に,局所のケアから,地域の閉鎖的特性からくる精神面にまでの多岐にわたる問題をかかえていた。我々は,病院内に留まらず地域においても相談所を開設し,さらに訪問指導も積極的に行うことにより,個々の悩みに対応できるよう試みた。その結果,9症例の内の8例の患者は,個々のかかえている悩みと不安を取り除かれ,生きる喜びを感じて生活できるようになった。このことから,オストメイトは,身体的精神的社会的問題が解決され,適切な援助の機会が得られれば,より高いQOLが期待できると考えられる。
  • 門脇 淳, 伊藤 允, 北 順二, 根本 猛彦, 金子 幸雄, 石川 邦文, 小暮 洋暉, 田島 芳雄
    1993 年 9 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     parastomal hernia の診断は従来は臨床症状と局所所見を中心に行われてきており,通常その頻度は7~20%程度とされている。ここでは,より客観的で簡便な方法として,ストーマ部のCT画像を用いる方法を考案し,46例について検討した。結果は,ヘルニアの頻度は全症例の30%で従来の方法よりも高頻度にparastomal herniaを発見した。また,ヘルニアは腹直筋肉にストーマが造設されている場合には全症例の8.4%で,頻度が少なかった。このことから,術前のストーマサイトマーキングが極めて重要であることが再確認された。
  • 大村 裕子, 穴沢 貞夫
    1993 年 9 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     皮膚保護剤を使用し1年以上観察しえた113例の消化器ストーマ患者における皮膚保護剤貼付部の皮膚管理状況の経時的変化を検討し,以下の結果を得た。
    1)皮膚変化を全くしめさないものは術後早期から極めて少なく,その割合は経時的に増加した。
    2)皮膚変化の種類によりその発生状況は異なっていた。
     以上により,皮膚保護剤によっても完璧な皮膚管理を期待することは出来ず,また皮膚保護剤により引き起こされる皮膚変化は質的にも量的(変化の広がり)にも動的な変化をしめし,ある一時点で皮膚保護剤を評価することはできないことが示された。
  • 立見 早智江, 紺家 千津子, 奥 雅世, 龍口 さだ子, 真田 弘美, 西村 元一
    1993 年 9 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1993年
    公開日: 2024/04/30
    ジャーナル フリー
     骨盤内臓全摘術後の会陰部に瘻孔を形成した症例を経験した。この症例ではpH8.0で1日約1500㎖の腸液の流出がみられたため,瘻孔周囲に発赤・びらんを生じた。またスキントラブルによる痛みのために夜間不眠を訴えることも多かった。この症例に対し,まず尿道バルーンカテーテルによるドレナージという方法をとった。しかし,患者はカテーテル挿入による違和感と臀部を汚染することによる不快感の苦痛を訴えていた。そこで,会陰部の瘻孔にインケアフィーカルを使用したところ,スキントラブルの改善が図れた。さらに,患者の臀部が汚染されるために生じていた不快感や痛みが軽減でき安眠できるようになった。以上のことより,会陰部の瘻孔のケアにパウチングが有効であると言える。
地方会抄録(地域研究会記録)
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