抄録
卵休眠時に胚が発育停止する原因として、胚自身が発育停止する機構を有しているとする説と、卵黄やしょう膜、卵殻等の胚以外の卵構成要素に原因を求める説がある。胚培養はこの問題に迫る有力な方法であると考え、Grace培地を用いて実験を行い、突起形成を発育の指標として以下の結果を得た。1.前休眠期から培養を開始した胚は30℃で突起形成までに2日間を要したのに対し、産卵後15日以上経過した休眠卵から取り出した胚は4日以上を要した。2.除卵殻卵と休眠卵から取り出した胚を併置培養すると胚の発育が促進された。3.20-ハイドロキシエクダイソンを培地に添加すると濃度依存的に発育が促進された。しかし、100nMのKK-42を添加しても胚の発育は抑制されなかった。4.休眠時特異的に蓄積されるアラニン(50mM)、及びソルビトール(200mM)を前休眠胚培養時に添加しても発育は阻害されなかった。5.休眠ホルモンは培養胚、及び除卵殻卵に対して効果を示さなかった。以上の結果をもとに卵休眠の制御機構について考察したい。