抄録
蚕の人工飼料は1960年代に実用化された。その後多くの改良がなされてきた。しかし、基本的組成は大きく変化していない。一般的な蚕の人工飼料は20種類ほどの成分を混合して作られている。また、人工飼料飼育は無菌あるいは清浄環境維持を前提としている。このため、水と練合された人工飼料はオートクレーブあるいは蒸煮機で蒸煮される。 ところで、我々は桑葉粉末の製造にホソカワミクロン株式会社のドライマイスターを使用した。その結果、製造された桑葉粉末は生に近い状態の成分を保持していた。そこで、この粉末を主成分とした人工飼料を開発した。この人工飼料の特徴は以下のとおりである。1.成分は5種類でシンプルな組成である。2.ほとんどの成分が水溶性であり、混合が容易である。3.蒸煮を必要としない。 上記無蒸煮人工飼料を用いて人工飼料飼育を行った結果、原種用に我々が開発しKIT404110飼料と比較して営繭率及び繭糸質で劣るものの飼育可能であることが明らかとなった。さらに改良を加え、新しい人工飼料としての実用化を目指している。