表面科学
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STMで見た単結晶Si表面のH原子パッシベーション構造
徳本 洋志森田 行則
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1996 年 17 巻 9 号 p. 516-522

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抄録

サブクォーターミクロンからナノスケール領域に入ったULSI分野では,Si表面の精密制御が最重要課題の一つとなっている。なかでも,H原子によって終端(パッシベーション)したSi表面が,大気中でも自然酸化が防止できる,各種の汚染を軽減できるなどウルトラクリーンテクノロジーの観点から注目されている。ここでは,Si表面のH原子パッシベーションの方法として,最もデバイスプロセスに受け入れやすいHF系溶液へ浸す方法について紹介する。Si(111)表面の原子オーダー平坦化と水素原子終端に関しては研究が最も進み,原子オーダーで平坦なSi-SiO 2界面作成とpH=8程度のHF系溶液を用いることによりほぼ自由に制御できるようになっている。一方,Si(001)表面は実際のデバイスに用いられる表面であるため非常に精力的な研究が行われているが,まだ,制御できる段階にはない。極く最近,微傾斜Si(001)基板をpH<1の溶液の中へ一定の方向に浸すことにより,原子ステップ以外には欠陥のほとんど存在しない表面を作成することが報告された。本解説では,si(111)およびsi(001)表面の溶液処理を行った後速やかにSTM装置を用い,表面構造を原子オーダーの精度で観察した結果について紹介する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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