エージェントの協調には,再会の可能性がある.つまり,以前交渉したエージェントと再度遭遇し,交渉する可能性がある.この場合,1回のみの交渉(ゲーム)から得られる合意(解)よりも,交渉するエージェント全体でみて高い効用をもたらすだけでなく,各エージェントにとっても高い効用をもたらす合意を形成できる可能性がある.本稿では,再会の可能性を考慮した協調方式(各ゲームにおける戦略の選択手法)を提案する.この協調方式では正・負の両方の関係で協調可能なことを実験的に,また解析的に示す.さらに,再会を考慮する上で重要となるエージェントの記憶容量についても解析し,交渉開始時に交渉相手の候補が複数存在する場合には自分からの距離の指数分布で交渉相手を選択すると効果的なことを示す.