抄録
本論文の目的は関数型言語の特徴を活かしたプログラミングによるGUIの作成法を開発することである.関数型言語でGUIを扱うためのツールキットはその内部では大抵C++などのオブジェクト指向な命令型言語に基づいてできている.そのため関数型言語を用いたGUIプログラムは命令的な面影を残し,関数型の力を発揮しきれていない.Haskellの場合はGUIライブラリのひとつであるwxHaskellをより関数型らしく扱うためにPhooeyと呼ばれるHaskellのライブラリが開発されたが,こちらはまだ実用的な段階まで開発が進んでいない.本論文ではPhooeyを改良し,新しいGUIライブラリNeooeyを実装する.具体的にはGUIをレイアウトと処理を独立させて別々に定義可能にすることによりGUIの表現力を増加させる.またNeooeyを用いたGUIの実装の手順を紹介する.さらにNeooeyの有効性についてPhooeyでは表現できないGUIの例を用いて言及する.