近年,オプティカル・フローを使って,物体の追跡,立体画像の復元,ロボットのシーン理解などの問題を解く手法の提案がなされている.これらの多くは,逐次型計算機によってオプティカル・フローを求めているが,オプティカル・フローの計算量は多く,その計算時間を短縮するには,並列計算機を利用するのが良いと考えられる.そこで,本論文では,オプティカル・フローを求める並列アルゴリズムを提案する. まず,空間輝度変化は微小であるという近似を導入する.従来,オプティカル・フローの計算には,オイラー方程式を解くことに帰着するHornとSchunckの手法が多く用いられている.このオイラー方程式は非同次の連立偏微分方程式であるが,導入された近似により独立な2つのポアソン方程式に変形できる.ポアソン方程式は,フーリエ級数法を用いることにより並列計算機上で効率良く計算できることがわかっている.その特性を利用して,本論文では,オプティカル・フローを並列に計算する手法を提案する. また,本論文では,導入した近似について考察する.本手法とHornらの手法を計算機上に実装し,両者が計算したオプティカル・フローの比較を行うことにより,誤差の解析を行う.特に,空間輝度変化と誤差の関係,および物体の移動と誤差の関係を明らかにし,正則化定数の物理的意味の相違について考察する.