社会福祉学
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児童福祉法制定過程における行政統合と対象範囲拡大の議論 : 「児童福祉総合計画」構想の変遷を通して
駒崎 道
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2013 年 53 巻 4 号 p. 29-41

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抄録
児童福祉法制定過程における2つの矛盾が,先行研究において指摘されている.第1はGHQが提示した行政統合方針「連携的統合」とは異なり,厚生省は司法行政との一元的統合を議論の中心にすえたことである.第2はGHQの対象範囲の拡大方針「対象児童の一般化」を厚生省は歓迎しながらも,実際の対象範囲の拡大は理念と矛盾する結果となった点である.本稿はこれらの矛盾が生成された理由を,3つの異なる「児童福祉総合計画」構想の変遷を通して検討した.厚生省は戦前・戦中の歴史的課題「司法行政との一元化」「児童福祉」構想を児童福祉法のなかで解決しようとし,児童福祉への理念転換に成功したが,対象範囲の拡大は,所管争い回避のため「すべての児童」と理念に明記しながらも,要保護児童中心にとどまった.他方,司法行政との一元的統合は,関係省庁の連携的統合による非行少年総合施策と総合調整機関が企図されたことにより断念された.
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© 2013 一般社団法人 日本社会福祉学会
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