社会福祉学
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53 巻, 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 北場 勉
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 3-15
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    市制町村制と窮民救助法案との関係は,ドイツ人モッセに始まる.当時の内務卿山縣有朋がドイツ式地方制度の導入を決断した.彼は,モッセをドイツから招聘して起草させ,1888(明治21)年に市制町村制が制定された.その後,モッセは,母国ドイツの救貧法に倣い,日本でも救貧を市町村の公共事務とする救貧法の制定を要請した.なお,ドイツ式地方制度の導入の背景には,不平等条約改正の条件として,西洋流の法律の制定が求められたことがある.同法案の作成に関わったのは,カール・ルードルフ,アルバート・モッセ,荒井邦蔵参事官を中心とする内務官僚,そして山縣有朋である可能性が高いと思われる.窮民救助法案は,被災厄者の救済,市町村の救済義務規定,扶助籍の創設,救済費用に関する争いの調停方法等にドイツ救貧法の影響が色濃くみられるが,日本の従来の救済制度に関わる独自規定も織り込まれていた.
  • 中嶌 洋
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 16-28
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    戦後,長野県が初めてホームヘルプ事業を導入し得た契機に,原崎秀司の欧米社会福祉視察研修(1953〜1954年)がある.しかし,それは必ずしも偶然ではなく,いくつかの伏線があり,彼の苦悩体験や理想像を基盤とした思想から派生していた.そこには,先妻を亡くし,幼子3人を抱える父子家庭の父親としての生活の苦しみがあった.加えて,『知性の改造』や『カントの日常生活』から,生活規範や実践力の大切さを学んだ経験があった.敗戦から復興への苦難を地方行政官と父親という2役を担い試行錯誤するなかで,子どもの健全育成や円満家庭に必要なハウスキーパーの重要性を認識した.本稿の目的は,戦間期から終戦直後までの原崎の思想展開とハウスキーパー構想を,原崎直筆の日誌『遠保栄我記(新正堂版)』を紐解きながら考察することにある.この考察は,わが国のホームヘルプ事業創設の思想的背景を明確にする際に不可欠な一視点となる.
  • 駒崎 道
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 29-41
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    児童福祉法制定過程における2つの矛盾が,先行研究において指摘されている.第1はGHQが提示した行政統合方針「連携的統合」とは異なり,厚生省は司法行政との一元的統合を議論の中心にすえたことである.第2はGHQの対象範囲の拡大方針「対象児童の一般化」を厚生省は歓迎しながらも,実際の対象範囲の拡大は理念と矛盾する結果となった点である.本稿はこれらの矛盾が生成された理由を,3つの異なる「児童福祉総合計画」構想の変遷を通して検討した.厚生省は戦前・戦中の歴史的課題「司法行政との一元化」「児童福祉」構想を児童福祉法のなかで解決しようとし,児童福祉への理念転換に成功したが,対象範囲の拡大は,所管争い回避のため「すべての児童」と理念に明記しながらも,要保護児童中心にとどまった.他方,司法行政との一元的統合は,関係省庁の連携的統合による非行少年総合施策と総合調整機関が企図されたことにより断念された.
  • 高良 麻子
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 42-54
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    現代日本の社会変動やそれに伴う政策・制度機能不全を背景として,変容・拡大する生活問題を体験している人々に対しては,構造的変化を見据えた支援が必要だと考えられる.そこで本研究では,社会福祉士によるソーシャル・アクションの認識および実践実態を把握することを目的に,日本社会福祉士会会員に対する質問紙調査を実施した.その結果,(1)回収率から関心の低さが推測されること,(2)構造的変化を含めたソーシャル・アクションの認識が記述者の半数であったこと,(3)そのうちの実践者は調査対象者の24%(148)であったこと等から,本来のソーシャル・アクションを実践できている社会福祉士は一部であることが明らかになった.また,重要性を認識しながらも,実際の行動に移せない状況がみられた.このような状況に対応するためには,(1)問題および法制度課題の認識,(2)実践環境の整備,(3)ソーシャル・アクション方法の体系化が必要だと考えられた.
  • 福間 隆康
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 55-68
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,組織コミットメントと職務コミットメントによる職員の類型と,職務満足およびサービスの質との関連性を明らかにすることを目的とした.調査は,福祉施設に勤務する介護職500人と病院に勤務する看護職689人を対象にインターネット調査を行った.職務満足,サービスの質における4類型間の相違について,分散分析と多重比較を行った結果,職務満足の5側面のうち,3側面(達成,成長,評価・給与)については,優等生(HHタイプ)が最も高く,無関心(LLタイプ)が最も低い値を示した.また,職務満足の2側面(昇進,クライアントとの関係),およびサービスの質については,無関心が他のタイプよりも有意に低いことを認めることができた.米国における研究結果とほぼ一致して,介護職と看護職ともに,優等生は他のタイプよりも良好な状態を生み出す可能性をもつことが確認された.
  • 山本 真知子
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 69-81
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    本稿は,日本においてこれまで研究されることがほとんどなかった里親家庭の実子に焦点をあて,里親家庭で里親(両親)や委託児童とともに生活する実子がどのような意識をもち生活を送ってきたかを明らかにすることを目的とした.里親家庭で生活したことのある成人に達した実子11人へのインタビュー調査を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った.その結果,実子は委託児童と中途の関係から生活が始まり,委託児童の措置の状況によりたびたび里親家庭の構成員の変化を経験する.里親家庭でのさまざまな経験は実子に大きな影響を与えるが,実子の存在は里親養育から見落とされる傾向が高いことが明らかになった.実子は里親家庭だけではなく学校や地域などの社会においても多様な葛藤をもちながら生活を送ることが示唆された.
  • 田中 恵美子, 土屋 葉, 平野 優子, 大生 定義
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 82-95
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    ALSは終末期には呼吸筋麻痺で死亡と認識されてきたが,1980年代以降医療機器等の発展後,呼吸筋麻痺後を含め「新しいALS観」が提唱された.しかし現在も装着率は3割にとどまる.本研究は遺族に対し,生活構造論と生活の資源を用い,装着者(5例)と照合し,非装着者(13例)の病の経験と生活を調査した.結果から,(1)アイデンティティは社会制度の利用に影響を与える,(2)情報提供の適切な時期,量は個々の生活戦略により異なる,(3)アイデンティティの全面的崩壊はない,非装着・装着は生死を分かつ選択だが,呼吸筋麻痺を個別的に受け止めた結果の違いである,(4)資源の管理者役割への外部支援,特に男性介護者の経験不足と男性心理に対する支援がない,などが挙がった.当面の課題として,一定の社会制度の利用促進,情報保障,管理者役割支援が挙げられるが,これらを貫く生活の多様性を保障したうえでの生活の資源の標準化と介入のあり方に対する検討は残された課題である.
  • 李 仙恵, 朴 志先, 中嶋 和夫, 黒木 保博
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 96-108
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,知的障害児の母親の育児負担感が心理的マルトリートメントに与える影響を検討することを目的とした.対象者は,知的障害児通園施設12か所を利用している母親とした.統計解析には母親158人のデータを用いた.実証すべき因果関係モデルは,母親の育児負担感が心理的マルトリートメントに影響すると仮定した.このときの統制変数として母親の要因(年齢,児の数,学歴),障害児の要因(年齢,性別,障害程度),世帯構成,母親のコミュニケーション技術と攻撃性,父親の情緒的サポートに関する母親の認知を投入した.前記因果関係モデルのデータへの適合性は,構造方程式モデリングを用いて検討した.その結果,CFI=0.926,RMSEA=0.070と統計学的な許容水準を満たしていた.以上の結果から,知的障害児の母親の育児負視感の軽減が児に対する心理的マルトリートメントの予防にとって有効な方策になることを示唆された.
  • 呉 世雄
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 109-122
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    本稿は,介護施設における組織管理要因としてのリーダーシップとチームワークが職員の職務満足およびサービスの自己評価に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.そのために,全国の介護老人福祉施設から1,000か所を抽出して,1施設当たり職員5人に郵送でアンケートを配布し,265施設から1,105部が回収(回収率22.1%)された.そのうち,介護に直接関わることが少ない管理職や事務職,また看護職は分析対象から外し,介護職員672人を分析対象とし,共分散構造分析による仮説モデルの検証を行った.その結果,リーダーシップはチームワークを促し,またそれが職務満足およびサービスの自己評価に影響を及ぼすことが確認された.さらに,リーダーシップはチームワークや職務満足を経由してサービスの自己評価に影響を及ぼすことが明らかになった.以上の結果をふまえ,介護施設におけるサービスの質の維持・向上を図るための提言を行った.
  • 松宮 透高, 八重樫 牧子
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 123-136
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    メンタルヘルス問題のある親による虐待事例への支援においては,児童福祉と精神保健福祉連携が不可欠であるが,実際には不十分な状況にある.本研究は,その要因のひとつと考えられる両領域間の相談援助職の認識を明らかにすることを目的として,児童福祉施設および相談機関の相談援助職と精神科医療機関に所属する精神保健福祉士を対象に,当該事例に対する関与実態と認識についての質問紙調査を行った.その結果,当該事例について相談援助職間で認識の差異があることが明らかになった.またその背景には,精神保健福祉士の当該事例への関与機会の乏しさ,相互の領域に関する研修の乏しさなどがみられた.こうした不十分な連携と支援プログラムの乏しさのなかで,児童福祉の相談援助職は強い困難感やストレスを抱きながら当該事例への支援を多く担っていた.研修体制の拡充や適切な人員の配置により,支援環境の整備と両分野における認識の共有を図る必要があるといえる.
  • 鈴木 良
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 137-149
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,海外および日本の知的障害者の脱施設化/地域移行政策の成果に関わる評価研究の動向を分析することを通して,これら評価研究がどのような視座によって遂行されてきたのかを検討した.その結果,第1に,海外および日本の研究は行動領域と生活環境への視座が共に重視されており,入所施設との比較においてある一定の適応行動や生活の質が向上する一方,行動領域には変化がみられない状況や悪化する場合もあることが示されている.この成果をめぐってはノーマライゼーションをどのように解釈するのかという価値判断が問われる.第2に,海外および日本の評価研究では知的障害者による主観的解釈が重視されてきた.この視座は適応主義的考え方に陥らないようにし,社会一般のノーマルの意味を問い直すうえで意義があるが,その主観的解釈の背景にあるさまざまな要因間の相互作用について相対化する社会構築主義の視座も必要である.
  • 永山 誠
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 150-152
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
  • 藤本 健太郎
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 153-155
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
  • 津田 耕一
    原稿種別: 本文
    2013 年53 巻4 号 p. 156-
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
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