社会福祉施設の経営で経営理念が重視され,組織や職員に浸透する必要性が増している.そこで施設における経営理念浸透を把握する理論的枠組みを構想する目的で研究を行った.社会福祉施設の経営の特徴を明らかにし,経営理念を定義した.経営学の経営理念浸透研究に注目して紹介し,それを社会福祉施設での適用という観点から考察した.結果,個人と組織のなかにある経営理念以外の意識的・無意識的な信念や価値観との関連で理念浸透を把握し,理念の実際の行動への反映を扱う理論的枠組みが必要であることを明らかにした.その視点を反映するため,個人レベルに信奉理論と使用理論,中間集団と組織レベルに組織文化を用い枠組みを構想し,既存事例を分析した.この枠組みによって,個人,中間集団,組織レベルで経営理念の実際の行動への反映を把握し,かつ経営実践と利用者支援の振り返りに利用できることが示唆された.