本稿は,都外施設の資料の整理を通して,都外施設の議論で欠如していた点を明らかにし,今日の知的障害者の親亡きあと問題との関連の検討を目的とする.都外施設は,施設中心福祉の時代において親亡きあとの生活の場の役割を果たしてきた.しかし,地域福祉の時代に入り,知的障害者本人が東京都の生活を希望するものの,実現が難しい現状がある.
本稿は,都外施設の問題は,脱施設を考慮に入れていなかったこと,親と知的障害のある子どもを分けたうえで対策を講じてきたこと,知的障害の特性を考慮に入れていないことが要因だと指摘した.これらの課題は,知的障害者の親亡きあと問題にも通じる.知的障害者の親亡きあと問題の解決には,親を当事者の1人として捉え,意思表明が難しい知的障害者本人を中心とした関係者同士が本人に関する情報共有をしたうえで,本人の好みや願いを模索していくことが知的障害者の親亡きあと問題の糸口になると結論付けた.