創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
外傷後無眼球症の二次的義眼床変形に対するfree flapの適応について
-眼瞼皮膚,眼窩骨に欠損がない症例の検討-
橋川 和信櫻井 沙由理高須 啓之寺師 浩人田原 真也
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 1 巻 3 号 p. 119-124

詳細
抄録

 眼瞼皮膚や眼窩骨に欠損がない外傷後無眼球症の二次的義眼床変形に対するfree flapの適応について検討する。2008年までの10年間に経験した症例を対象とした。外傷後無眼球症の二次的義眼床変形に対する手術症例のうち,眼瞼皮膚や眼窩骨に欠損がない症例について遡及的検索を行い,free flap移植術を適用した症例の治療経過を詳細に調査した。全7例のうち,3例でfree flap移植術が施行されていた。Free flapを移植したのは,受傷後長期間経過してから重度の義眼嚢拘縮をきたしたものが2例,上眼瞼皮下の著明な瘢痕拘縮と陥凹変形をきたしたものが1例であった。眼瞼皮膚や眼窩骨に欠損がない外傷後無眼球症においても,free flapを必要とする症例が一定数存在する。重度かつ進行性の義眼嚢拘縮,眼瞼の著明な瘢痕拘縮を伴う高度な陥凹変形はfree flapの適応基準となることが示唆される。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本創傷外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top