シリコーンジェルシートは,肥厚性瘢痕やケロイドに対して世界中で広く使われている。しかし,作用機序や適切な使用方法に関していまだ不明な点が多いため,本論文ではシリコーンジェルシートの既存の文献を網羅し,臨床応用や作用機序に関して考察した。
その結果,作用機序として外部からの刺激の保護や瘢痕周囲にかかる皮膚張力の分散などが示唆され,また,材質はシリコーンに限らず,ほかのものでもよい可能性が示された。かつ理想的なジェルシートとは,(1)表面の保湿を行いつつ適度に水分をシートより蒸散するもの,(2)皮膚に対して接触性皮膚炎を起こさず接着し,外部の刺激からクッションの役割を果たす軟らかさをもったもの,(3)正常皮膚と比較して同様の厚さ・硬さ,厚く軟らかい,もしくは薄く硬いものである可能性が示唆された。
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