創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
“プロペラ皮弁法”の術前穿通枝評価におけるMultidetector-row CT (MDCT)の有用性
小野 真平林 宏光小川 令百束 比古
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2010 年 1 巻 3 号 p. 125-132

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抄録

 “プロペラ皮弁法”の術前評価法としてのMDCTによる穿通枝造影検査 (perforator CT angiography;以下P-CTA) の有用性を報告する。術前にMDCTによるP-CTAを施行し,かつプロペラ皮弁で再建を行った症例を対象に後ろ向き調査を行った。対象は11例,13皮弁で,皮弁茎は5皮弁が皮下茎,8皮弁が穿通枝茎であり,皮島の形状は通常の楕円形が9皮弁,2葉が3皮弁,4葉が1皮弁であった。皮弁の大きさは最小が6.5×2cm,最大が27×8cmであり,ドナーは植皮をした2例を除いて単純縫縮が可能であった。生着率は1例に部分壊死を認めたが,残り10例は100%生着した。MDCTで同定した穿通枝は,疑陽性,偽陰性は認めなかった。さらにMDCTによるP-CTAを導入することで,平均約21%の時間短縮となった。MDCTによるP-CTAは“プロペラ皮弁法”の安全性を高め,手術時間を短縮することが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本創傷外科学会
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