抄録
頭蓋顎顔面および四肢の広範囲の皮膚欠損創に対し, 組織拡張器を用いて整容的に再建する際の問題点は, 組織拡張器を挿入するドナーとなる周囲の健常皮膚の面積に限界があることである。 これに対しわれわれは, 組織拡張器で伸展した皮膚を最も効率よく利用する方法 (unfolded cube advancement flap) を開発した。 この方法は rectangular type の組織拡張器で伸展させた皮膚を直方体の箱とみなし, これを展開するように欠損部に伸展する方法であり, 皮弁の形状は,皮弁先端の両側にさらに皮弁 (以下翼) が付随したT字状の形となる。 本法を, 頭蓋顎顔面領域の7例および四肢の広範囲皮膚欠損創の再建の4例に用いた。 顎顔面領域の7症例では,皮弁は全生着した。 縫合線は表情線や輪郭線にほぼ一致し, 整容的に満足のいく結果が得られた。 四肢の4例では, 両翼先端約1cmの部分にうっ血を認めたが, 保存的に治癒した。 縫合線の多さや輪郭線への不一致などはあるものの, 整容的に改善を認め。