抄録
慢性膿皮症は何らかの宿主側の要因により慢性,難治性の経過をとる皮膚細菌感染症の総称である。重症化すると膿瘍,排膿,皮下の瘻孔,瘢痕などを含む病巣が広範囲に及ぶため,根治させるには広範囲切除が必要となる。しかし,その後生じる皮膚欠損は単純に縫縮するには大きいため植皮が必要になり,また,外陰部,腋窩などの凹凸が多い部位に好発するため,移植した皮膚の固定は容易ではない。手術に伴い感染合併,病変の取り残し,有棘細胞癌合併のリスクも存在する。われわれは重度慢性膿皮症の治療として,陰圧閉鎖療法 ( Negative Pressure Wound Therapy : NPWT ) を併用した 2 期的手術を行った。第 1 段階では病変の広範囲切除を行い,その後生じる皮膚欠損に対し wound bed preparation のため NPWT を適用した。第 2 段階では創閉鎖のため分層植皮を行い,その固定のために NPWT をさらに継続して使用した。この治療法により良好な結果が得られ,術後合併症および経過観察中の再発はみられなかった。