オレオサイエンス
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総説
固形化粉ミルク硬化メカニズムについて
~放射光測定技術が果たす役割~
神谷 哲羽生 圭吾
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2022 年 22 巻 2 号 p. 61-70

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抄録

粉体は輸送や保管コスト,ならびに保存性の観点から製品や原料の形態として広く利用されている。一方で,粉体は計量時に手間がかかり,周囲へ粉の付着や飛散,さらには溶解時に解け残りが発生するなどの課題がある。著者らは,粉ミルクの使用時の手間を軽減しつつ,輸送適性を有する形態として,粉ミルクの固形化(タブレット)製造プロセスを開発した。本稿では固形化粉ミルクを実現する際の鍵となる製造技術について紹介する。具体的には,高い溶解性と輸送適性を両立させるための「コア・シェル構造」を得るための2 つの重要な技術,「圧縮プロファイル制御による打錠技術」と「糖質のガラス化・結晶化制御による硬化技術」について説明する。これらの製造技術の確立とメカニズム解明は,放射光測定技術を利用して実現した。本稿を通して,放射光を使った食品の計測とその独自の現象解釈が商品の新しい価値を創出した事例を紹介する。

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© 2022 公益社団法人 日本油化学会
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