2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s153_2
臓器移植後妊娠・出産ガイドラインが2021年10月に日本移植学会から発刊された。わが国では最初の移植後の妊娠・出産に関する臓器横断的なガイドラインである。心臓移植後の妊娠・出産は欧米では散見されるようになっており、Transplant Pregnancy Registryにその集計報告が掲載されている。2020年には胸部臓器移植後の妊娠に関するシステマティックレビューが発表され、生出産が70.5%、流産が22.0%、死産が1.9%、中絶が5.8%であった。心臓移植後の妊娠・出産のケアのガイドラインは2010年に国際心肺移植学会から発表されている。いずれもエビデンスレベルは低く、レベルCとなっている。本発表では、本学会から昨年に発刊されたガイドラインに沿って心臓移植後の妊娠ならびに出産についての推奨や留意点について述べててみたい。